強みレポート

トレンドとDXの融合
トレンドを捉えDXによる経営の見える化

筆者紹介
久保田剛史(くぼたたかふみ)
診断士資格取得年度2023年、神奈川県入会年度2023年。静岡県出身。1980年生まれ。IT企業では、金融・流通業界の法人向けシステム開発・保守をメインにPG~PMを担当。(公財)日本生産性本部の登録養成課程を経て中小企業診断士を取得して現在に至る。
メールアドレス:kubo2b28y@gmail.com



はじめに

 昨今の経営環境において、影響の大きいトレンドが多く、急激に変化していると感じております。
 外部では、世界的にSX、人的資本などの考え方も生まれており、政治(P)、経済(E)、社会(S)、技術(T)といった基本観点だけでは、外部の変化を捉えにくい状況となってきております。内部では、その変化に対応するための対策として、現状を把握するための継続的なデータ収集・蓄積の重要度が高まっております。このような、トレンドを早く捉えて、経営へ活用するためにどうしたらよいのでしょうか?
 トレンドとDXの融合によって、環境変化に適応可能な仕組みづくりが重要だと考えております。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)

 社会課題に取り組みながら、企業の持続可能性を高めるサステナビリティ経営のことです。環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の観点は、ステークホルダーの関心が高く、重要性が高まっております。この3つの観点で、自社にとって何ができるのか?を検討し、経営理念、経営戦略へ取り込むことがポイントです。新たな情報として、温室効果ガス排出量をCO2換算するため、データ収集・蓄積が重要になります。

人的資本(ヒューマンキャピタル)

 価値の源泉は「人」にある、という考え方です。2018年に国際標準化機構(ISO30414)が策定され、投資家からのニーズもあり、日本では2023年3月から人的資本開示が開始しております。7分野で構成されており、人材育成、エンゲージメント、流動性、ダイバーシティ、健康・安全、労働慣行、コンプライアンス・倫理となっています。ここで、自社の経営資本とは何か?を検討し、自社の強みを生かした経営戦略、経営目標へ落とし込むことがポイントです。新たな情報として、7分野のデータ収集・蓄積が重要になります。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)

 業務へデジタル技術を活用することで、業務プロセスを変革し、競争優位性を高めることです。組織を機能で捉え、機能ごとに業務フローを策定し、必要な情報を洗い出し、情報連携するためのシステムを導入します。経営者の積極的な推進により、全体最適の視点から、費用対効果を考慮したシステムの検討が重要となります。ここでポイントは、経営目標(KGI、KPI)の数値化です。経営分析で活用するデータ収集・蓄積が重要になります。

 私が行った事例では、新旧の業務フロー策定し、可視化することで、「業務とデータが明確化され共有しやすい」との声をいただきました。業務フローが存在しなかったため、ヒアリングによる業務フローの策定が大変でしたが、「現場の声は、重要な問題点のヒント」というヒアリングの大切さに気づくことができました。

BI(ビジネスインテリジェンス)

 経営の意思決定に必要な情報を可視化することです。DXによって連携された情報から、経営の意思決定を支援するための情報を提供します。カスタマイズが柔軟であり、動的な表現による視覚的なわかりやすさが特徴です。経営の目標と実績によるデータ重視の経営分析によって、原因の特定や効果的な対策がしやすくなり、経営の意思決定のスピードが向上します。また、経営報告への活用がしやすくなります。

 私が行った事例では、BIツールを導入し、ダッシュボード化することで、「チェックが楽になった」との声をいただきました。追加・変更の要望が出やすく、アウトプットの擦り合わせが大変でしたが、「何をどのようにチェックするのか?」という顧客視点で考える大切さに気づくことができました。

おわりに

 経営環境の激しい変化の中で、トレンドを捉えて経営に取り込み、DXによる経営の全体最適化の仕組みが実現できれば、環境変化に適応しやすい組織となり、企業の持続的経営の発展に寄与すると考えております。
今後は、このような経営の仕組みづくりの支援に携わっていければと考えております。

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